はじまり

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「サラ!もう9時になるぞ!」 ドアを勢いよく開けると、そこには小さめの身長に、艶のいい長い黒髪の女性が目の前に立っていた。 「おはよ!・・・って、もうそんな時間!?」 サラと呼ばれた女性は、ダンからの言葉を受け、自らの腕時計を見る。 針は8時57分をさしていた。 「なにやってんだ、いくぞ!」 サラが腕時計から目を外すと、目の前にいたはずのダンは、右肩に鞘に入った日本刀をしょい込み、今いる寮の2階から1階へ降りる階段の前にいた。 「え、ちょっと待ってー!」 ・・・ 「えー、ここはベクトルの向きが・・・」 大きな講堂で白髪の男性教授が授業を行っている。 「ダン、間に合ってよかったね!」 「ん、ああ」 二人は、1時限目の授業に間に合う事が出来た。 ダンは、後ろから3番目の端の席に座るようにし、その横にサラが座っている。 すると、ダンの後ろの席から声が二人に掛けられる。 「今日も二人でラブラブ登校かい?」 その男の声を聞き、二人は後ろを振り向く。 「お前かよ・・」 二人に声を掛けたのは、水色の髪をした優男であった。 「なんだってなんだよ。このクロード・バティンが声を掛けるなんて、女の子が黙っちゃいないぜ?」 クロードの両隣りには、くっつくように二人の綺麗な女性がいる。 顔立ちがかなりの美形であるためか、普段から女の子がすり寄ってくるのだ。 「今日も女と一緒か」 ダンは、ため息まじりにクロードへ言葉を掛け、前へ身体の向きを戻す。 「まぁな。ってか、ダンもサラちゃんと一緒なんだし、変わらねーじゃん」 ダンの背中とサラの顔を見ながら、言葉を掛ける。 「は?サラは、勝手についてきてるだけの面倒なやつだから、そんな良いもんじゃねーよ」 クロードの言葉に対して、なおもめんどくさそうに返事を返す。 「面倒なやつってなによ!」 ダンの隣で聞いていたサラは、頬をぷくっと膨らませて睨みつける。 「別に怖かねーよ、事実だし」 サラの顔を見ても態度を変えず、授業に耳を傾ける。
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