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「お待たせ~。」
「またせ~。」
姉ちゃんと空ちゃんが荷物を持って歩いてきた。
「はいよ~。そだ、さっき風音会ったんだよ。」
「で、なんか話したの?」
「ん~、空ちゃんのこととか…あ!また手伝いに来てくれるってさ。」
「そっか。それはよかった。」
沈黙…。
「どしたの~?」
なんか空気が重いな……。
「えっと…はい、これ。」
姉ちゃんが俺に渡したのは、俺の財布。
手に取ると…恐ろしいまでに軽かった。
中を見ると…札は一枚もない。
小銭は100円玉が数枚と、10円玉多数。
「で?」
俺は財布を仕舞って、姉ちゃんに問いかける。
「ごめんなさい。」
姉ちゃんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「違うだろ。」
「???」
姉ちゃんは首を傾げる。
「ありがとう、じゃないのか?」
「…ありがと。」
姉ちゃんは嬉しそうに笑って礼を言ってくれた。
「ありがとー?」
「うん。よし、家帰るか!風音呼んで飯作ってもらおう、な?」
俺は二人の頭を撫でてやり…頬を緩ませながら、荷物を持ち帰路についた。
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