硝子の壁

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目が合って 笑顔になって 『おいで』と言って 私を抱き寄せ その腕に包む いつもの 『硬派』は どこへ行ったのだろう、と苦笑する 軽く唇を合わせて また目で笑いあって 口内を舌で刺激しあう もう慣れたのか 遠慮をする素振りすらみせず 私のベッドへ 寝転び また『おいで』と腕を拡げ 私にねだる -違うでしょう? 『おいで』ではなくて 『来て』欲しいでしょう? 全ての行動の意思決定を 私に委ねて あくまで自分は受け身に回る とても狡くて 素直じゃない人 そして私は それに気付いていない振りをする 貴方に気取られない様に 惜しみなくぶつけられる『嫉妬』に 私は時折 驚きを隠せなくなる 惜しみなくぶつけられる『感情』に 私は時折 疲れを感じる その度私は 硝子の壁をつくり 貴方の様子を 外側から見る -私の中に 入らないで- -私の感情を 揺さぶらないで- -私を恐怖で 支配しようとしないで- 告げるのは 感覚 -これこそ 共依存の始まり- だから私は すぐに控えている距離の遠さを 8割の『執着』による 哀しい気持ちと 2割の『安堵』として 受け入れていく 『傷』に惹かれて 手に入れた 獣は やはりまだ 私には慣れてくれない *
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