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「嘘…だろ……」
――心臓が激しく波打つのが肌で感じ取れる
「この状況でも抵抗しようとするなんてなぁ。人材に困っていたらてめぇをスカウトしてただろうよ」
「はっ、強盗の仲間なんてこっちから願い下げだ!」
強がっていても状況は覆らない。
周りには先程まで見回りに行っていた男三人も帰ってきていた
四方を囲まれた。
予想していた最悪の事態。
――動悸の音が自身へのカウントダウンのようにも聴こえた
絶体絶命のピンチだ。
「ただの強盗じゃあないんだがな。まぁ、ここで死ねや。海にくらいなら捨てといてやるよ」
「…………っ」
――鼓動が限界に達する
「う、おぉぉおおおっ!!」
叫び声とともに響く轟音
四方からほぼ同時に放たれた銃弾からのものだった
コンマ一秒といった世界で、俺はしゃがんだ
その体勢のまま、ほとんど一歩に近い歩幅でリーダー格の男へ近づく
近づいた距離はわずかながら十メートル。
男たちから見れば、俺はほんの一瞬でリーダー格の男の目の前へたどり着いたように視認しただろう
だが俺からすれば普段通りの世界だ。
ただ違うのは
常人の何倍以上も身体能力が飛躍した というのが今の状態だということ
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