平凡と非凡

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「俺は誰かを護るとか……無理なんだよ。もうあんな思いはしたくねぇんだ」 結局 彼女の強い口調に押され気味になりながらも話す 自分のことは自分が一番知っている。 そういった強い感情がこの言葉には込められていた だが、 「そんなの関係ないっ! 『SWAT』に入りなさい!! あんたの気持ちなんてどうだっていいの! 問題はあんた一人の力で何人の命が救えるかってことなのよ!!」 そんなものを一撃で払拭した。 「な……、む、無茶苦茶か! お前は!」 「な、誰がよ!! 誰かを救える力を持っておいて何もしないっていう方が無茶苦茶よ!! もういい! あんたみたいな奴に声をかけたのが間違いだった!」 ずかずかとドアへ向かい乱暴にドアを引っ張り開けた 怒りの矛先が地面にドアにと、あちこちに飛び交う。 「さぁ出なさい帰りなさいっ!! 一応 車だけはだしてあげるわ、感謝してよね!」 「んだよその地味な優しさは! 勝手に連れてきて最後は帰れって……」 ぶつぶつと文句を空気にぶつけたところで、羽霧星空の気持ちが収まるわけではない。 そのまま用意されていた黒くて長い車、リムジンに乗り込もうと、 「一応、一応あんたの名前訊いといてあげるわよ!」 「……羽霧、空だ」 最後の最後で、自尊心からか自身の名である“星空”とは言わなかった そのネーミングに少なからず羞恥をもっていたらしい
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