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「やだよ~やだよ~…、俺はなにも悪くないし、拉致監禁されたからだし……。とか言ったって結果は同じなんだろうけどさ」
ぶつぶつぶつぶつ、いくら言葉を並べてもどうにもならない。
街頭も少なく暗い夜道に独り言を呟く、不審者だ。
それほどまで負のオーラが空の周りには充満していた。
「と、とりあえず今日破った事項はいくつだ……。まず時間だろ、それから、稽古……」
やめた。
自分で言って自分の首を絞めていることに気が付く。
とぼとぼと歩いていると
着いてしまった。家に。
「…………ごくり」
家を前にして覚悟が揺らぐ
涙からか家が霞んでも見えた。
(や、やっぱり今日は帰らないで……)
「あら空くん、お帰りなさい」
「ひゃうあぁ!!?」
腰が抜けるほどのタイミングだった。
背中越しに伝わる重い感じに空は引き攣った笑顔で振り向く
「た、たたたた、ただい、ただいまぁ、チィ姉」
音が外れまくっていた
振り向いた先には笑顔で門の前に立つ 緋の袴姿で黒髪を肩甲骨あたりで結んだ清楚なお姉さんがいた。
空にはそれが悪魔にしか見えていなかった
「遅かったね。帰り」
「ご、ごめんなさい!!」
「どこで何してたの?」
「ごめんなさいっ!!」
「あはは、空くん、それじゃあ答えになってないよ」
(…………っ!! に、逃げよう!!)
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