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その場に自分の分身が残るほどの速さで空はダッシュした
もう死に物狂いだ。
――鼓動が波打つのがわかる
空の家の塀に沿って走り抜ける。
空の家は広い道場が一つに、二階建ての古い格式のあるような母屋が一つ、さらには小屋が四つほどとかなり大きい敷地だ。
「さすがに俺の走りには……」
長い長い塀だけしか見えないので、どれほど門から離れたか少し振り返ってみた
だがそこにはいるはずの者がいない。
「そんなに急いでどこいくの?」
目前にいた
「ほぉぉおおぉぉ!?」
――心拍数が脈拍が、限界に達した
無理な体勢から脚に負担をかける
寸前のところで止まった
そこから急な切り返しをする
すでに身体は『限界突破』していた
(今の俺なら誰にも負ける気がしねぇ!!)
気持ちの高ぶりを、自身の進化を手にとるように感じていた
しかしその先にも
「空くんの帰り遅いからご飯が冷めちゃった」
「もうホントごめんなさいっ!!!」
呆気なく撃沈。
進化の矛先を土下座という形で終わらせた
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