行間:その頃の千草

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いま何時 そういった感覚に陥るほど待っている気がする。 午後五時を指し示したところだった。 「…………そろそろ帰ってくるよね」 只今、道場の真ん中で正座中。 これもすべてあの子のため あの私をチィ姉とよび慕ってくれる子の。 でも帰ってこない。 学校は終わっているはずだしそろそろ帰ってきてもいい時間帯よね 私はかれこれ三十分もこうして待っている。 今日は稽古をつけてあげる日だ。 危険な事には首を突っ込んでほしくないけど、自分を守れるほどの力は持っていてほしい。 このご時世。なにが起きるかわからないもの。 ならばと、『羽霧家』の一人息子としても強くあってほしい そうおじ様は言っていた。 でもあの子はあの事件以来、少し控えめな性格になってしまった。 そんな所も含めて大好きなんだけど。 って、私はなにを考えているのだろう。 それにしても遅いな
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