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午後六時三十分
もうあれから二時間は道場にいる。
(……お、落ち着きなさい千草! 空くんを信じてまとう……! それがあの子のためなら)
血が繋がってなくとも、あの子は私にとって弟も当然。
それこそ身を呈して護ってあげれるほど。
そんな子が連絡一つもいれないで、未だに帰ってきていない
そもそも今日は組み手稽古の日。
まさか逃げたなんてことは有り得ない。
あの子はいつも笑顔で稽古に励んでいるはずよ。
(そうだ! き、今日は特別にご飯を先に作って待っていよう! もう本当に特別なんだから!! 仕方ないな~空くんは)
それがいい。うんきっと。
いつもなら絶対ないことなんだから、帰ってきたらビックリするだろうな
なんてことを考えながら私は母屋へと向かった。
道場から母屋までは一つの長い廊下を渡っていくのだけれど、その間、私は終始速足だった。
(よし、今日は空くんの大好きな食べ物にしよう! うん、そうしよう)
頭の中を今晩の献立でいっぱいにした
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