平凡と非凡

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乾いた破裂音と同時に悲鳴が聴こえてきたのは 銃声だ。 「……あっちの方か」 ちょうど建物が陰になり俺からは見えなかった。 そのまま知らぬふりをすれば巻き込まれることもない なにより銃声よりも恐いチィ姉がいる家へ、関わらなければ遅れずに帰れるかもしれない。 今、この国は腐敗している それこそ俺が生まれる前の“裏社会が表社会をのみこんでいた頃”と比べればかなりマシな方らしいのだが、それでも犯罪は毎日のように繰り返されていた。 『SWAT』と呼ばれる日本独自の“裏社会を徹底的に潰す組織”が過度の犯罪は抑えるのでまだ安心ではあるらしい。 と、他人事のように言っているが 俺もその裏社会に関係のある『裏十三家』と呼ばれる闇の一家の一つ『羽霧家』の人間なわけだけど。 ただし『羽霧家』とは名だけで、昔とは違い今はほとんど関わりをもたない廃れた一族としてその名も忘れられているほどらしい。 なのでこうして平和にも学校へと行っているのだが、 それでもやはり形だけの平和らしい。 「…………」 今。銃声を鳴らしたであろう男を乗せた黒いワゴン車が俺の目の前を横切った
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