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細い道を右に曲がる。
そうしたら、もうすぐで信号だ。
信号は、あともう少しで私の家がある、という道しるべ。
信号は、赤。止まる。
目の前で車が通り過ぎる光景を、ボーッと虚ろに見る。
早く家帰りたいなあ…今日は寒過ぎる。
こんなときに限って、信号は赤。
赤はまだ続く。
「さぶ……」
ズズッ、と鼻を啜る。
やがて、待ち望んだ青色に変化する。
同時に、あたしの足も動き出す。
横から、速い足音が通り過ぎる。
何気なしに目を向けると、肌が若く、顔の整った美少年。
…肌が若く、って…私はオッサンか。
美少年もこちらに目を向ける。
茶色く、丸い瞳と目が合った。
その時にはもう、道路の向こう側にはたどり着いていた。
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