ゲームスタート。

3/9
前へ
/254ページ
次へ
もう少しで完全夢の中に行くところを、着信音が邪魔をする。 「人が寝てるってのに……」 ぶつくさ文句を言いつつも、結局は通話ボタンを押してしまう。 「もしもし…」 寝起きの声は、明らか不自然。 低く擦れて、男のような声をしている。 電話の相手は、「ぶはっ」と大きな声で笑った。 「……誰ですか?用がないなら切りますよ…」 『あ、待って。先輩、俺おれ』 俺? 俺なんて、この世にいっぱいいるよ。 『日下部です。覚えてます?』 「く、日下部!?」 覚えてるに決まってる。 今日で…いや、今まで一番濃い印象を与えたヤツだから。 『あはは、そんな様子じゃあ忘れてませんね』 「…何の用よ」 からかわれてることに気付き、声を一段と低くする。 何で私の電話番号まで知ってんのよ。 あげた覚えがないし。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加