噂とは、誠に奇なり

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ここまできたら、人畜無害でナイスガイな俺でも怒らざるを得ない。決して少女だからといって強気になっているわけではない。 「はぁ…この俺が殴らせるだけだと思ったか?年上の格の違いを見せてやる!」 そう言い放ち、この間読んだ格闘漫画の構えをとる。 すると少女はそれを見て鼻で笑い、同じく構えをとった。 「なっ……!?」 驚いたことに…それは俺の構えを打ち負かした敵の構えだった。 か、完敗した!? 俺はこのとき、初めて突発的な漫画ネタを小学生くらいの少女に完膚無きまで返される痛みを知った。 そして無惨に膝から崩れる俺に、少女が近寄る。 「いたいけで美しいレディに失礼な態度をとるからよ。あまつさえこの私に飴玉なんてものを差し出すなんて、無礼きわまりない!」 少女はそう言いながら、崩れている俺の頭にチョップを入れ続ける。 「うつくしいっ、れでぃっ、なっ、んてっ、どこにっ、いるんっ、だよっ…?」 俺はチョップされながらもとぎれとぎれにそう言った。
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