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「むっ…!」
「あたたたたた!」
それに答えるように加速するチョップの嵐。右へ左へ上へ下へ…電動ミシンの如く俺の頭を高速で移動するチョップに為す術がなかった。
「わかった!わかったから!だからこの手を止めてくれ!」
そう懇願すると、チョップの嵐が止んだ。
「…本当にわかったの?」
そっと顔を上げると、目の中にどす黒い炎を宿した少女の顔があった。
ここでまた下手なことを言ったら、今度はチョップじゃすまなくなるかもしれない。
それにこんな道中で小学生に暴力をふるわれ続けるのは恥ずかしい。
…その前の漫画ネタはなかったことにしよう。
「……あなたはいたいけで美しいレディです。飴ちゃんなんて滅相もありませんでした」
「………」
だ、駄目か…?
「…なんだか心がこもってないがよしとしよう」
納得しきってはいなかったが、少女は俺の頭から手を遠ざけた。
俺は安堵しながら立ち上がり、膝に付いた汚れをはたいて落とす。
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