噂とは、誠に奇なり

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俺は汚れをはたき落とすと、改めて少女の姿を見る。 やはり美人系というよりかわいい系な顔立ちをしている。まんま美少女だ。 格好は白いワンピース着ていて、右肩に女の子にしては大きすぎるバックを提げていた。 しかし、ランドセルはしょっていない。平日の朝八時半ぐらいにランドセルをしょっていないのは、小学生としては変ではないか? もしかして…登校拒否の放浪娘? …ありえる。なんせこんなにひねくれた性格をしているのだ。学校では様々な苦難に遭ってきたに違いない。 学校についてはとやかく言うのはしないでおこう。 「ところで君はなんで俺にガンをとばしてきたんだ?確かにぶつかってしまったのは悪いが、ちゃんと謝ったじゃないか」 「あんたがどかないから」 「…いいか?世の中には譲り合いの精神があってだな…」 「それを言うならあんただって同じでしょ。それに、私が欲しいのは道じゃなく、その場所なの」 少女はそう言って俺の足下を指さした。
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