第5話

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「…もぅ!おとうさん、まだ早いよ?」 汐里ちゃんが黒いモーニング姿で俯く、お父さんの背中を叩いた。 「…泣いてないぞ。」 うそばっかり… 肩が震えてる。 新婦控え室に入ってくるなり、大きく目を見開いたと思ったら、すぐに俯いたお父さん。 もう… つられちゃうじゃない… 今日は泣かないって決めたのに。 「父さん、気持ち分かる…」 後ろから入ってきた海君が、お父さんの肩に手を置く。 「…優ちゃん、綺麗だよ。 ……結婚…おめでとう… 幸せになって。」 目を赤くした海くんが、まっすぐに私を見て、優しく声を掛けてくれた。
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