第7話

7/16

8338人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
「…優凪、行くよ。」  優凪の正面に立ち、平然を装って声をかける。 「あっ、うん!…じゃあ、祥ちゃん私いくね。」 …祥ちゃん? 「…優凪?こちらは?」  「えっ?ああ!そうだよねっ! えっとこちらは…高校の同級生の葛城祥太…君?旅行に来ててここにと泊まってるんだって。」 …? なんか違和感の残る紹介だな… 「はじめまして、片桐です。妻がお世話になったようで…」 優凪は俺のものだ、変な気起こすなよ、という意味を込めて挨拶をする。 「はじめまして、優凪の元彼の葛城です。」 「!!」 …やっぱり 俺の牽制に気づいて、敢えて『元彼』と名乗りやがった…  「祥ちゃん!」 「なんだよ、本当の事だろ? いやぁ…それにしても、優凪の旦那イケメンだなぁ!」 「…仁さん?」 不安そうに俺を見上げる優凪。 「そうでしたか、それは本当にお世話になったようで、ありがとうございました。今後とも妻共々よろしくお願いします。では、失礼します。…優凪行くぞ。」 差し出した手に素直に乗せられた手を引き、その場を後にした。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8338人が本棚に入れています
本棚に追加