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「…優凪、行くよ。」
優凪の正面に立ち、平然を装って声をかける。
「あっ、うん!…じゃあ、祥ちゃん私いくね。」
…祥ちゃん?
「…優凪?こちらは?」
「えっ?ああ!そうだよねっ!
えっとこちらは…高校の同級生の葛城祥太…君?旅行に来ててここにと泊まってるんだって。」
…?
なんか違和感の残る紹介だな…
「はじめまして、片桐です。妻がお世話になったようで…」
優凪は俺のものだ、変な気起こすなよ、という意味を込めて挨拶をする。
「はじめまして、優凪の元彼の葛城です。」
「!!」
…やっぱり
俺の牽制に気づいて、敢えて『元彼』と名乗りやがった…
「祥ちゃん!」
「なんだよ、本当の事だろ?
いやぁ…それにしても、優凪の旦那イケメンだなぁ!」
「…仁さん?」
不安そうに俺を見上げる優凪。
「そうでしたか、それは本当にお世話になったようで、ありがとうございました。今後とも妻共々よろしくお願いします。では、失礼します。…優凪行くぞ。」
差し出した手に素直に乗せられた手を引き、その場を後にした。
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