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―仁side
「祥ちゃん…」
優凪が呟いた。
そして、繋いだ手に力が込められたのを感じた。
…優凪?
俺もしっかり握り返した。
「優凪、大胆になったね。まぁ、あの頃はまだガキだったもんな!」
優凪は不安そうに俺をみていた。
「祥ちゃん、昔の話はもういいよ…」
「なんだよ?思い出話くらいいいんじゃない?俺にとって優凪は最後の女なんだから。後にも先にも優凪以外ないよ?」
なっ!
思わず優凪を後ろに隠す…
こいつ…!
「もう!意味深な言い方しないで!私は祥ちゃんの為に…」
…こいつの為?
「あれ?もしかしてまだ言ってない?じゃあ彼は心配だろうね?」
…言ってない?何を?
「もう!知らない!」
優凪が俺の手を引っ張ってホテルに向かって歩きだす。
後ろから、奴の笑い声が聞こえていた…
優凪、一体何があったんだ?
過去を詮索するような事はしたくない、でも…聞いていいか?
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