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―優凪side
「おかえりなさい」
帰宅した仁を出迎えて、玄関に置かれた鞄を書斎に持っていこうと手を伸ばすと、すぐに仁の手に阻まれた。
「重いから」
そう言って手を捕まれたかと思ったら、そのまま私の体は仁の腕に包まれた。
「…優凪の香り、落ち着く。」
ぎゅっと抱き締められる。
「私も、仁の香り落ち着くよ?」
フッと笑った仁は、私の頭を撫でながら体を離した。
「今日は変わりなかった?無理してない?」
相変わらずの過保護発言に、今度は私が笑いをもらしながら答える。
「うん、大丈夫だよ。」
「それなら良かった。」
今度は私のお腹に向かって、
「チビ、ただいま!元気か?」
と声をかけた。
もう、チビって…
仁は赤ちゃんを『チビ』って呼びます。
男か女か分からないから、私は『ベビちゃん』と呼んでいたのだけど…
「俺が『ベビちゃん』って気持ち悪いだろ?」とか言って、すっかり「チビ」に落ち着いてしまったようで。
でも、お腹に向かって、嬉しそうに目を細めながら語りかける仁を見ていると、まぁいいかな?なんておもえちゃって。
今では私が合わせて『チビちゃん』と呼んでいます。
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