第8話

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―優凪side 「おかえりなさい」 帰宅した仁を出迎えて、玄関に置かれた鞄を書斎に持っていこうと手を伸ばすと、すぐに仁の手に阻まれた。 「重いから」 そう言って手を捕まれたかと思ったら、そのまま私の体は仁の腕に包まれた。 「…優凪の香り、落ち着く。」 ぎゅっと抱き締められる。 「私も、仁の香り落ち着くよ?」 フッと笑った仁は、私の頭を撫でながら体を離した。  「今日は変わりなかった?無理してない?」 相変わらずの過保護発言に、今度は私が笑いをもらしながら答える。 「うん、大丈夫だよ。」 「それなら良かった。」 今度は私のお腹に向かって、 「チビ、ただいま!元気か?」 と声をかけた。 もう、チビって… 仁は赤ちゃんを『チビ』って呼びます。 男か女か分からないから、私は『ベビちゃん』と呼んでいたのだけど… 「俺が『ベビちゃん』って気持ち悪いだろ?」とか言って、すっかり「チビ」に落ち着いてしまったようで。 でも、お腹に向かって、嬉しそうに目を細めながら語りかける仁を見ていると、まぁいいかな?なんておもえちゃって。 今では私が合わせて『チビちゃん』と呼んでいます。
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