目覚めた所は

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総司 「土方さんがトロいだけでしょ?僕のせいにしないでほしいんだけど」 平助 「どうでもいいけどさ、この娘の存在忘れてない?」 平助の一言でようやく本来の目的に気が付いたように一斉に私を見つめた。 土方 「目が覚めたんなら、近藤さんとこに連れていけ。」 近藤さん?… まだ、誰かいるの? だんだん不安から恐怖に変わっていく私はすぐにでも、この場から逃げ出したい状況に陥っていた。助けてもらったのかもしれないけれど、何だかこの場所は男ばかりで怖い…。 左之 「ちょっとは、気を使ってやってくんねぇか?怖がってるぜ?」 相変わらず、落ち着きのあって優しい物言い… 総司 「土方さんが五月蝿くなる前に連れていきますか~っとね。」 土方 「なにが五月蝿いだぁ?「そういやぁ、一くんは?」」 土方さんを無視するように総司は続けた。 土方 「っておい、人の話を…」 平助 「あー、一くんなら飯当番だからって朝早く新鮮な獲物を捕らえに行ったけど。」 総司 「ふぅん。まっ一くんなら、美味しいもの期待できるかな。」 「あの…」 私は意を決して、目の前にいる四人に話しかけてみることにした。 総司 「なに?」 相変わらず無愛想に返すけれど怯まずに私は続ける。 「一体、ここはどこなんですか?私、記憶が曖昧で…確か、学校行事で登山してたはずなんですけど…」 土方 「その説明は、近藤さんとこで話す。だから、着替えたければ待ってやる。すぐに支度しろ。」 新八 「土方さんも冷たいな。答えてやればいいのに。」 土方 「近藤さんの許可なく答えられるか。飯抜きにしても文句ないのなら、新八から話してやっても構わないがな。」 新八 「ちょっ!それは……」 「あの!私は着替えなど持ってきてないので、このまま行けますから…。だから、私のせいで…ご飯抜きなんて止めてください。」 泣きそうな顔をした新八から、私の一言でパァーっと笑顔に戻る。 総司 「優しいね~君。」 「いえ、私はただ…」 総司 「その優しさが時には命取りになるってこと覚えておいたほうが…「総司!!」おっと危ない、危ない。土方さんに怒鳴られちゃった。」
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