第壱話:始め!

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無造作に伸ばした黒髪を揺らしながら歩く1人の少女が、注目を集めている。 夏を前というのに、未だに真っ白なマフラーを首に巻いた彼女は、鉛でできた重たいハンマーを肩に担いでいた。 女の子らしい可愛い顔をしているが、どこか表情が不機嫌そうな彼女は、ぶつかってきた1人の少年に足止めされていた。 「……ぁ…ゴメンなさい……!」 少年は小動物のように縮こまり震える。 「………ぃや…そんな怖がらなくて―――」 そこまで言い掛けて、邪魔が入った。 少女の頭に、ごつごつとした男の手が乗る。男の名は、茂道 茂夫。少女の担任をしている。
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