煉瓦街の住人

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白煉瓦街15番地の門番にお辞儀をして通りを歩いていると前から殺人鬼が歩いてきた。 「ハローハローアベル。ご機嫌はいかが?」 殺人鬼は右手にもったナイフをキラリと輝かせる。 「好かないね。」 ギラギラした目はナイフを見つめた。 「自分の殺し方が分からないんだ。」 銀色の綺麗なナイフは青い火花をパチパチ輝かせていた。青い火花はやがて赤へと変わる。 「そんなの当たり前さ。自分で自分を殺そうなんて何の意味も持たない。自分は殺せない。誰かに殺してもらわなきゃあ死ねないさ」 そう言うと殺人鬼は泣いていた。 「誰かに傷つけて貰おうなんて餓鬼の考えだ、甘い甘いや。甘い君に僕の気持ちが解る筈なんてないのにさ。一瞬でも君に縋った僕はもっと甘いや」 殺人鬼はナイフを両の手に持ち、自らの腹に突き刺した。きっともう1人を殺す為だろうが傷口からは火花がパチパチ輝いてその傷を治してしまう。 「どうやら忙しいみたいだね。またねアベル」 「あぁ、さよなら。甘い甘い君よ。」 殺人鬼はナイフをひとふり、火花を辺りに輝かせた。するとすぐさま門番がやってきてその火花を全て踏み潰す。 「以前この火花の所為で火災が発生したのだよ。幸い怪我人は出なかったがどうにも物騒でね。また繰り返さない為にもこうやって火花を踏んで散らすのだ。」 門番はダンダンと鈍い音を立てて足を何度も振り下ろした。殺人鬼はいつまでも泣いていた。  
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