始まりの挨殺

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「…………」  六月の下旬。長かった梅雨もどこへやら、去ったと思われた梅雨は真夏の入道雲と太平洋気団を引き連れて戻って来やがった。  今の俺は最悪だ。梅雨抜け切らぬジメジメとした体育館に放り出され、全校生徒共々地獄の様相を呈している。  生徒総会はどうなったか? いや、開始二時間経つがまだ始まってない。話という話もなされていない。  壇上では二人の女子が言い争いを繰り広げている。注意しなければならないはずの先生も、校長含めて全員が暑さでダウンしていた。 「だから、あたしこそ生徒会長にふさわしいって言ってんの!!」 「ふん。貴様はえらく人の前に立つことに慣れているようだが、私だって貴様に負けず劣らずの力量ぐらい持ち合わせているのでね」  夢の再来か。俺は偶然か否か、見覚えのある顔を見つけた。壇上で争っている二人は夢に出てきたそのままのことを言っている。  まったく、あの冗談めかしい夢が正夢になろうとは。世の中もずいぶんと世知辛いものだ。 「勝手にしてくれ……」  俺は後ろでのびている男子をどかし、床に寝そべった。床も暑い。俺は揺らぐ視界の中に、まあ色んなものを見た。
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