始まりの挨殺

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 争いは収まった。収まったかは果たしてわからないが、俺がどうにか取り持った。  互いの言い分を聞いてみたりもしたのだが、一向に話がまとまらない。  すると、誰かが壇上に上がっていた俺の肩をトントンと叩いた。佐々木さんかと思い振り返ると、違った。  その人は現副会長で、急にその役割の辞任を俺に申し出た。俺をどこかの校長と錯覚しているらしい。  この二時間で起こったことを簡単にまとめてみよう。二人の意見もそれぞれ含めるとこうなる。 ・生徒総会スタート   ↓ ・生徒会長分裂   ↓ ・裏の袖で口論開始   ↓ ・そのまま壇上へ   ↓ ・生徒、バタバタと倒れる   ↓ ・言い争い続行   ↓ ・俺がどうにか治める   ↓ ・現副会長、辞任を表明(俺に)   ↓ ・今に至る  迷惑な話だ。新聞各社が聞いたらまたスクープにして全国へ流れるだろう。  とりあえず二人の興奮を落ち着かせ、なだめる。あ、そういや二人の名前を聞いていなかった。 「で……話し合いをするにも何も、まず名前を聞かないことには話にならないからなぁ」 「あたし? あたしは伊吹真矢。生徒会長候補よ」  茶髪ツインテールの女の子──伊吹はきっと隣にいた黒髪ポニーテールの女の子を睨む。 「私は松風桐乃。私こそ本物の生徒会長だ」  黒髪ポニーテールの女の子──松風は同じく伊吹を凛とした目つきで見る。 「わかったわかった。とりあえず落ち着けよお前ら」 「これが落ち着いていられる訳ないでしょうが!!」 「さいですか……」  今、俺は女子の迫力に負けた気がする。女子ってこええ。
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