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話し合いを重ねるごとに、だんだんと二人のことがわかってきた。
この二人はそれぞれクラスも違えば出身校も違う。普通に暮らしていれば何の接点もないような、ただ気が強いことだけが共通点の女の子だった。
しかし、その二人にとって安穏たる日常は一つの出来事──いさかいによってもろくも崩れ去る。
入学早々に行われた新入生学力診断模試。その成績が昇降口の掲示板に張り出されたのだ。
その掲示板は昇降口にある通り、誰の目にも止まるような位置にある。全校生徒の格好の注目を浴びるまたとないチャンスだった。
当然、伊吹と松風もその模試を受験した。二人は互いのことなど全く意識せず、ただただ順位の最高を目指した。
しかし。いざその成績が張り出されると、あまりの出来事に騒ぎが起こった。
一位が二人。そう、言わずもがな伊吹と松風だった。それぞれ487点(俺は舐めきっていたので385点)でトップだった。
皮肉にも、それが二人の関係悪化を急速に進行させるものになった。
そんな中迎えた生徒会役員選挙。言わずもがな、何事にも一位でなければならないといった中途半端に崇高な精神をもった伊吹と松風が生徒会長に立候補した。
二人の票集めはまさに至極を極めた。実際、名前は公表されずに匿名選出が義務づけられているので、俺たちは訳も分からず投票した。
そして。最近の暑さによって先生一同の頭のビスがどこかへ飛んでいったかの如く、生徒会長不在のまま今日に至ったと言うわけらしい。
開票は明後日。そんな中行われた生徒総会。互いに争い合う二人を相対させるなど、火に油を注ぐようなものだった。
結果、こういう事態を招いている。全ての元凶が校長初め先生一同にあるとは言わないが、それでも少し酷すぎる。
譲り合うことも考えたが、こんな気の強い者同士が譲り合う光景も返って見たくない。
「ねえあんた。あんたはどっちが生徒会長にふさわしいと思う?」
伊吹が妙にしんみりした表情で俺に聞いてくる。この際、どちらでも変わらないだろう。しかし……。
ここで曖昧な発言をした瞬間、俺は否応なしに天国へと旅立つだろう。それだけは避けたかった。
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