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「どっちがいいか? それは他意を含んだ意味じゃないんだよな?」
「あんた、今立たされてる状況わかってそんなこと言ってる? 真面目にふざけたこと言ってるんなら許さないから」
はいはい、一応聞いてみただけだよ。ハナから俺はふざけてるつもりはない。
どちらがいいか吟味する。俺が二人に目を合わせようとすると、互いにさも気恥ずかしそうに目を逸らす。
「何で目逸らすんだよ。わからないだろ、ちゃんと見ないと」
すると顔を真っ赤に紅潮させた松風が、
「貴様。私を一目見ただけで印象深い事柄を数百個挙げられるぐらいの人間ではなかったのか」
「無茶言うな!!」
読心術があるわけじゃあるまいし。そんな高度なテクニックを期待するならよそに頼んでくれ。
改めて二人を見ている内に、正直なところどちらでも変わらないことに気づき始めた。
どちらにしろ気が強い者同士なのだから、外見が少し違うのを除けば大体同じだ。今更張り合ったところで無駄なんじゃないか?
「なあ、もういっそのこと二人とも生徒会長でいいんじゃないか?」
その言葉に松風が異様に敏感に反応し、釈然としない表情で、
「はあ? 二人で生徒会長なんて無理に決まってるだろう。あまつさえ、こんな女と」
正論かもしれない。確かにわが校則には人数制限のことは明確に記載されている。以下、校則参考のこと。
生徒会規約第三条 人数
・我が南柏原学園の生徒会は規律を持って生徒の模範となるべき行いを意識するものとする。その為の生徒会を構成する人数は以下の通りとする。
・生徒会長……規約無し
・副会長……定員一名
・会計……定員一名
・書記……定員一名
・広報……定員一名
「どうだ? つまり、生徒会長のブッキングは合法的なんだ。つまらない争いばかりやってないで……なぁ、頼むよ」
伊吹と松風は互いに顔を見合わせて唸る。
「じゃ……じゃあ、あんたも何かやりなさいよ……あ、そうだ!!」
伊吹が何か勝ち誇った顔をしながら近づいてくる。……嫌な予感。
「あんた副会長やりなさいよ!!」
伊吹の一言。かくして、俺は関係のなかったはずの生徒会に身を投じることになった……。
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