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ハルナはそんな俺を鼻で笑い、前髪をかきあげた。
「そんなの分かってたことじゃん。ユウヤは考えなかった?お姉ちゃんが自殺するかもって」
ああ…
何も答えたくなかった。
俺は固く目を瞑り、俯いた。
それを同意の印と受け取ったのか、ハルナは続ける。
「ドラマとかでよくあるでしょ?夫に離婚しようって迫られた妻が自殺する話。まぁ、まだお姉ちゃんが自殺か分からないけどね」
自殺。
こんな言葉が身近なものになるなんて、誰が想像していただろう?
頭が痛くなった。
『その後の捜査で、プラットホームの端に滑ったような後が残っていたことが分かり…』
頼む、頼む、事故であってくれ…
不毛な願いだ。
気付けば、手は痛いほどに布団を握りしめていた。
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