最終編

18/36
前へ
/98ページ
次へ
「ニュースなどは見られたでしょうか?」 「あ、はい」 「じゃあ貴方の奥様である、アリサカミサトさんが亡くなられたのはご存知ですね?」 「はい、今さっき知ったところです」 「そうですか。ご愁傷様です」 「どうも…」 「先程現場検証が終わり、奥様の死は事故として処理されました。目撃情報は少なく、状況証拠ばかりになりますが、恐らく間違いないでしょう」 「そうですか…」 淡々と俺に状況を報告してくる。 この人にとってミサトが死んだことは、ただ彼の仕事が増えただけの厄介ごとなのだろうか。 どうせ自分と関係ない赤の他人の死なんだ。 「ご愁傷様です」 さっき棒読みで俺にそう言ったけど、その言葉も仕事なんだろ? 少しひねくれた考えが頭をよぎった。 湧き出す、得体のしれない感情の波に押しつぶされそうだった。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1103人が本棚に入れています
本棚に追加