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「ニュースなどは見られたでしょうか?」
「あ、はい」
「じゃあ貴方の奥様である、アリサカミサトさんが亡くなられたのはご存知ですね?」
「はい、今さっき知ったところです」
「そうですか。ご愁傷様です」
「どうも…」
「先程現場検証が終わり、奥様の死は事故として処理されました。目撃情報は少なく、状況証拠ばかりになりますが、恐らく間違いないでしょう」
「そうですか…」
淡々と俺に状況を報告してくる。
この人にとってミサトが死んだことは、ただ彼の仕事が増えただけの厄介ごとなのだろうか。
どうせ自分と関係ない赤の他人の死なんだ。
「ご愁傷様です」
さっき棒読みで俺にそう言ったけど、その言葉も仕事なんだろ?
少しひねくれた考えが頭をよぎった。
湧き出す、得体のしれない感情の波に押しつぶされそうだった。
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