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引きずられるまま、気付くと玄関口に立っていた。
「ほら、車に乗って」
ハルナが車の近くで手招きしている。
だけど、どうにも乗る気になれなかった。
その時ふと、昔ミサトと一緒に自転車を買ったのを思い出した。
運動不足解消のためだったが、結局三日坊主で終わったんだっけ。
「俺…自転車で帰るよ」
景色を見ながら、ゆっくり帰りたい。
何より、一人になりたかった。
「そう。まぁいいや、分かった。速く帰ってきてよー?家で待ってるからね」
意外にも、ハルナはあっけらんと俺の主張をのんでくれた。
ハルナが車に乗り込むのを見届けると、俺は倉庫に向かった。
確か自転車は倉庫にしまったんだよな…
車のエンジン音が遠ざかっていく。
何だか少し心が安らいだ。
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