雪 ――無音の道程――

6/11
前へ
/11ページ
次へ
今朝自分の部屋に戻って一眠りし、午後の講義には出た。 大学から歩いて10分の場所にあいつのアパートがあり、そこからさらに15分のところに俺のアパートがある。 面倒くさい時は、あいつの部屋に泊めてもらうこともある。 大学が近いからってだけじゃない。 地元とはいえ俺の実家は電車で1時間はかかる。 だから、俺は大学の側の格安学生アパートを借りたんだが、掃除だの料理だのほとんどしたことなくてさ。 その点、あいつは料理ができる。 上手くなくても、俺よりできるってのが重要。 だから、俺は食糧の差し入れ持参でよくあいつの部屋に行く。 ・・・・・・あ、しまった、あいつの好物のブラックチョコ忘れてきた。 アパートに一度戻ったはずなのに、今俺はこうして雪の中、何故かあいつの部屋に向かって歩いている。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

165人が本棚に入れています
本棚に追加