1 災厄の訪れ

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「…やめて…もうやめて…おねがい…もうみたくないの…だから、ね?」 真っ赤な世界に二人だけの、特別な空間。二人だけの世界。二人っきりの世界。 嬉しい。楽しい。愉快だ。喜ばしい。心地良い。堪らない。素晴らしい。愛しい。狂おしい。 何て素敵な世界なんだろう?こんなに真っ赤なバラを敷き詰めた世界なんて、見た事も聞いた事もなかった。 僕は夢を見ているんだろうか?ああでも、こんな綺麗な景色を心行くまで見続けられないのは嫌だ。 じゃあ、これは夢なんかじゃない。夢じゃなかったら、これは何だろう?よく分からない。 「ねえ、僕と一緒に踊ろうよ!僕は君と一緒に踊りたい気分なんだ!アハハハハ!」 「嫌っ…嫌ぁ…!嫌あああぁぁぁぁっっっ!!!…あ」 …?あれ、おかしいな?あの子はどこへ行ってしまったんだろう?さっきまで目の前にいたのに。 「あ!こんな所にいたんだ!突然いなくなっちゃったからびっくりしたよ!ねえ、僕と一緒に踊ろうよ!僕は君と一緒に踊りたい気分なんだ!」 「嫌ぁ…!やめて下さい…!お願いしますっ!私に出来る事なら何でもしますからっ!!だから、殺すのだけはどう」 …?あれ、おかしいな?…おかしいな?おかしいな? 真っ赤な世界に二人だけの、特別な空間。二人だけの世界。二人っきりの世界。そうだよね? 嬉しい。楽しい。愉快だ。喜ばしい。心地良い。堪らない。素晴らしい。愛しい。狂おしい。くるおしい。 何で素敵な世界なんだろう?こんなに真っ赤なバラを敷き詰めた世界なんて、見たくも聞きたくもなかった。 僕は夢を見ているんだろう?ああ、こんな綺麗な景色を心行くまで見続けるのは嫌だ。 じゃあ、これは夢なんじゃない?これが夢だったら、この感じは何だろう? 「アハハハハ!…あはは、はは…」 …?あれ、おかしいな?あの子はどこへ行ってしまったんだろう?さっきまで目の前にあったのに。 「…あ!こんなところにいたんだね!…あれ、違った。なあんだ、バラか」 嬉しい。楽しい。愉快だ。喜ばしい。心地良い。堪らない。素晴らしい。愛しい。狂おしい。くるしい。 苦しい。 「アハハハハ!アヒヒヒヒ!あ」 バラ一杯の赤い世界に、花弁が一つおっこちた。 後には鎖の唸り声を残して。
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