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僕を見た大多数の人が僕に抱く印象はこう。
『固い』とか『氷みたい』とか。
まあ確かに僕は表情も体も固いし、融通きかないし、冷え性だけど、そんな言い方は無いと思う。
「高橋って笑う顔が思いつかない。鉄仮面?」
「割とひどいよね、いじめ?」
「じゃあ、笑ってみて」
隣の席の三船君に言われたから、笑ってみる。
…ってあれ、笑うってどうやるんだっけ?
たしかこう…口を開いて、目を細くして。
「こ、こうかな?」
三船君は僕を見た瞬間に吹き出した。
それを聞き取ったみんなが僕の席に寄ってくる。
「どしたー?」
「今の三船か?」
「高橋君がギャグでもしたの!?」
『高橋君がギャグ』
この言葉を皮切りに他クラスの僕の知らない人まで出てきた。
「あの高橋がギャグなんて、そうそう見られねえぞ!」
「三船を一瞬で笑わせたその芸、見せてくれよ!」
「いや、ギャグでもなんでもないからっ。ていうか君誰?」
三船君、君のせいで収集つかなくなっちゃったよ。どうしてくれようか。
「高橋がギャグ」
「あの高橋がギャグ」
「あの一年の氷コンビの片方の高橋がギャグ」
やばいよ、なんかどんどん噂が広がっていく。
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