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「高橋が笑った」
「あの高橋が笑った?」
「あの氷コンビの片方の高橋が笑った!」
さっきと全く同じノリ。
どうしてくれる三船君。君が笑え、なんてことを言ったから、もうどうしようもないこんな状況になってしまった。
というか一番悪い三船君はどうした。…友達と一緒に見にきた吉野さんに話しかけてるし、一度ふられたらしいじゃん。
さて、三船君もダメな今、正直打つ手なし。
「高橋、笑ったの?」
小さいけど、どこからか声が聞こえてきた。というか目の前にその声の主がいた。
「…千葉さん」
隣のクラスの、千葉冷奈さん。
この人は、背が高い、雑誌のモデルにいそうなくらい高い。
外見は、一言で言うのなら綺麗。可愛いじゃなくて綺麗。
茶色の入っていない黒の髪や瞳、高い鼻も、大人っぽい、綺麗というイメージを与える。
そんな千葉さんが立っていた。
「高橋、笑ったの?」
千葉さんがもう一度尋ねてくる。
「いや、三船君の勘違いだよ」
三船君に問題を丸投げして弁当を探す。なんてったって昼休みだ。
「…奈美、一緒にお弁当、今日はパスしていい?」
吉野さんの方向に体を向ける。そういえば二人は親友だったっけ。
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