after snow

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「わかった、いってらっしゃい」 吉野さんは千葉さんに返事をした。 「三船、借りる。 高橋、ちょっと来て」 千葉さんは僕が何かを言う前に腕をつかまれた。 「ちょっとどいて」 千葉さんが教室の扉の人ごみに言うと、またモーゼが海をわったときみたいに道が出来た。 そこを千葉さんと僕は、というか千葉さんは僕を引っ張って走っていった。 「あれっ、高橋と千葉、そんな絡みあったっけ?」 「ううん、全然。 中学も違うし、クラス文系と理系で違うからなんとなく噂で知ってる感じ?」 「だよな、千葉ってあんま男子と話さないし」 「まあ冷奈の性格的にあんまり考えらんないじゃん、男子とはなす冷奈」 「…たしかに。 それで、あの千葉は高橋連れてどこに向かったんだ?」 「さあ? 中庭かもしれないし、ピロティかもだし、屋上かもしれないけど、とにかく人があまりいない場所」 「まあ…今日は中庭もピロティも誰もいなさそうだけど、なんで?」 「わからない?」 「ああ、全くわからん」 「考えたらわかるわよ、氷コンビの片方がもう片方に差をつけてるんだもの」 「…?」 「頑張って、冷奈」
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