after snow

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「だからさ、笑顔云々より前に無理をするのをやめればいいんじゃない?」 千葉さんが俯いていた顔をこっちに向ける。 「千葉さんは、美人だから。 無理をやめて、本音で向き合えばうまくいくと思う。いや、絶対だよ」 さっきから僕、クサいことばかり言ってるな。 「…そうとは限らないじゃない」 「いや…男子はそういうものだよ。少なくとも僕はそうだし」 「ホント、うまくいく?」 すがるような、いやすがってるようには見えないけど千葉さんは聞く。 「うん、保証する。 …千葉さん、好きな人いるんだね」 僕にはまだそういう体験はないから、すごい羨ましい。 三船君が語る恋って、ギューンだか、ボワッだか擬音ばっかりだけど、とにかくその人を思うとあったかくなるというのは伝わった。 千葉さんのいる手前見栄を張ったけど、やっぱ自然に笑えるって、 「いないよ」 予想外です。 「でも…心配だから」 「…三船君の受け売りだけど、『恋ってギューンでボワッってなってポワワン』らしい」 「…高橋、私をバカにしてる?」 「ううん、とにかく…恋すると、あったかくて、自然に笑顔、になれる…らしいから、大丈夫」 恥ずかしくなりながらも、しどろもどろになりながらもちゃんと言い切れた。 でも、千葉さんは僕の精一杯のセリフを聞くことなく、空を見上げていた。 「「わあぁ…」」 二人揃って感嘆のため息をつく。 予報じゃ確率十%だった雪が降り始める。
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