1人が本棚に入れています
本棚に追加
「だからさ、笑顔云々より前に無理をするのをやめればいいんじゃない?」
千葉さんが俯いていた顔をこっちに向ける。
「千葉さんは、美人だから。
無理をやめて、本音で向き合えばうまくいくと思う。いや、絶対だよ」
さっきから僕、クサいことばかり言ってるな。
「…そうとは限らないじゃない」
「いや…男子はそういうものだよ。少なくとも僕はそうだし」
「ホント、うまくいく?」
すがるような、いやすがってるようには見えないけど千葉さんは聞く。
「うん、保証する。
…千葉さん、好きな人いるんだね」
僕にはまだそういう体験はないから、すごい羨ましい。
三船君が語る恋って、ギューンだか、ボワッだか擬音ばっかりだけど、とにかくその人を思うとあったかくなるというのは伝わった。
千葉さんのいる手前見栄を張ったけど、やっぱ自然に笑えるって、
「いないよ」
予想外です。
「でも…心配だから」
「…三船君の受け売りだけど、『恋ってギューンでボワッってなってポワワン』らしい」
「…高橋、私をバカにしてる?」
「ううん、とにかく…恋すると、あったかくて、自然に笑顔、になれる…らしいから、大丈夫」
恥ずかしくなりながらも、しどろもどろになりながらもちゃんと言い切れた。
でも、千葉さんは僕の精一杯のセリフを聞くことなく、空を見上げていた。
「「わあぁ…」」
二人揃って感嘆のため息をつく。
予報じゃ確率十%だった雪が降り始める。
最初のコメントを投稿しよう!