大きなおうちの小さな恋

はじまり

宮口さん夫婦が私は大好きだ。

２つ上の宮口さんの息子さんの慎二君は意地悪だからだいっきらいだけどね。

でも、久しぶりに宮口さん家に行ける嬉しさから、私は舞い上がってしまっていた。

お泊まり当日、パパとママは必要以上に私に荷物を持たせた。

洋服も、勉強道具もお気に入りのぬいぐるみも。

荷物を全て持たせた時のパパは、どことなく寂しげな顔で、私が

｢結婚して家を出るわけじゃないんだし、寂しい顔しないでよ。家に帰ってきたら、お土産話ちゃんと聞いてよね。｣

そう言って笑いかけると、パパは力なく笑い返した。

そういえば、パパとこの話をしてた時、キッチンで私の大好物のチキンライスを作ってたママの肩が少し震えてた。

こんなことになるんなら宮口さん家にお泊まりなんて、本当にやめておけばよかった。