少女軟禁

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 ベットに戻ろうとしたところで、足の指先に何かが当たる。下を見ると、お盆に白いご飯やお味噌汁が乗っていた。どれにもラップがしてある。 「んー、うん? むむむ」  これは食べてもいいのだろうか。押入れの中に誰かが隠れてでもいない限り、この部屋にいる人間はわたし一人だ。人間以外の生き物も見当たらない。  ぐー、とお腹が鳴る。頭の中で行われている合唱祭よりは可愛らしいものだった。その合唱祭もようやく、終わりを迎えたようだ。  屈んでお盆を持ち、炬燵机まで運ぶ。机の隅には目視できるほどの埃が溜まっていたが、特に気にはならなかった。わたしは割と杜撰な奴なのかもしれない。  ラップを外す。ご飯からも味噌汁からも湯気は昇らなかった。そのせいかあまり美味しそうには思わない。だけどまあ、腹に入ればなんでも同じだ。  お箸を握り、黙々とそれらを流し込む。ご飯が固くなっていたので、味噌汁をかけながら食べてみた。あまり美味しくない。ご飯と味噌汁は別々に食べるのが好みらしい。  食べ終えて、「ごちそうさま」と箸を置く。寝起きだからか、それとも元から小食なのか、これだけで満腹だった。お腹一杯。  お盆はどうすればいいんだろう。  意味なく部屋を見渡し、とりあえず元の場所に戻しておくことにした。満足して、ベットにダイブする。  そういえば、この部屋には鏡がない。わたしは自分の身体をもう一度、ぺたぺたと触る。胸の辺りに小高い丘があった。股の辺りには何もついていない。 「……女か」  起き上がり、視覚と触覚で自分の身体を確かめる。  確かに造りが華奢だ。腕にしろ足にしろ、簡単に折れそうなほど細い。髪はどれくらい切っていないのか、無駄に長く伸びていた。ベットの上に黒い波を作っている。枝毛だらけで、髪質は非常に悪い。水分が不足しているのか、一束摘まみ上げて離すと、ふわっと宙を一瞬舞ってからベットに着地した。ぱさぱさで軽い。
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