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それからずっとそばに居続けた。
だんだん弱っていく美桜のそばに…
「桜…見たいな…」
「見れるだろっ!」
美桜は薄々気づいていたみたいだった。
だから俺はいつも否定し続けた。
「でもね、冬にも桜は見れるんだよ。」
「え?無理だろ。」
「外行こう?」
「寒いよ?」
「いいから。大丈夫だよ!」
美桜はどうしても行きたいと言って聞かないため、仕方なく看護師に聞いて許可を得て連れていった。
外は雪が積もり、辺り一面、真っ白だった。
「ほらみて。冬に咲く桜だよ。」
見るとそれはとてもきれいだった。
「ほんとだ…」
「木にたくさん雪が積もって、それを夕陽が照らす…きれいな桜でしょ?」
「そうだな…」
俺はなぜか涙が止まらなかった。
「美桜。俺、美桜のことが好きだ…ずっと、俺のそばに居てくれ。そして、春に咲く桜も冬に咲く桜も一緒に見よう?」
「…うんっ!」
そして病室に戻った。
これが最後に2人で見た桜だった…
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