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≪あっ…いや…五年前に結婚して…
今は…確かさく…ら…ぎ≫
『いえ…今は元の小島 琴美に戻りました。』
≪そうでしたか…
知らぬ事とは言え…
小島君…
すまなかった。≫
『いいえ…
そんな事より 今日は誰かと パーティーでも…』
≪いえ…そんな事は…≫
『だって…ほら…』
≪あぁ…これですか?≫
尾形はケーキの箱を小島琴美に見せた。
≪これは 公園に行って私が一人で…≫
『公園で…
≪えぇ…あの日から…毎年クリスマスはここで…≫
『一人で祝うにしては…大きすぎますよ!』
≪えぇ…娘と祝うんです。≫
『娘さんは… 確か…』
≪えぇ…馬鹿な男と思いでしょ…
情けないと…
ですがね… 私の時間はあの時から 流れていないのです。
『尾形さん… 』
《ねぇ…ママ見て
雪が降ってきたよ。》
『本当だね…ユリアちゃん…』
≪ユリア…≫
偶然なのか…
あの少女と同じ名…
背格好も…
それに…娘の琴美にも どことなく似ている… ≫
『…さん 尾形さん…』
≪あっ…はい… ≫
『雪もちらついてきました 娘もいるので… 』
≪…あっ… すみません…気がつきませんでした。≫
『それでは…』
小島 琴美は頭を下げるとユリアの手を引いて歩きだした。
ユリアは 何回も後ろを振り返っては 尾形を見ていた。
≪あ、の…
クリスマスケーキ ご一緒にどうですか?
私一人では 食べきれなくて…≫
尾形は顔を赤らめながら言った。
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