ふたりのおうち

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むかしむかしあるところに、「あ」というなまえのおんなのこがおりました。 またあるところに「い」というなまえのおとこのこがおりました。 「あ」は、あいうえおで、さいしょのことばだから、わたしがいちばんだよ!と、おんなのこはいつもいっていました。 「い」は、いろはにほへとで、さいしょのことばだから、ぼくがいちばんだよ!と、おとこのこはいつもいっていました。 あるひ、「あ」さんと「い」くんがであいました。 おたがいに、わたしがいちばん!ぼくがいちばん!といじをはって、けんかばかりしていました。 そんなあるひ、うさぎの「う」ちゃんが、ぴょんぴょんぴょんちょこんと、ふたりのまえにやってきました。 けんかするのはやめてよ!どっちがいちばんでもいいじゃないか。じゃあ「う」は、なんばんなんだい?そういって、「う」ちゃんは、ぴょんぴょんぴょんちょこんと、ふたりのまわりをとびはねてはおすわり、とびはねてはおすわりをくりかえしながら、どこかへいってしまいました。 「う」ちゃんってかわいいね。と「い」くんは、いいました。 「う」ちゃんってふしぎだね。と「あ」さんは、いいました。 ふたりは「う」ちゃんの、ぴょんぴょんぴょんちょこんを、まねしていっしょにあそびました。 もう、「あ」さんも「い」くんもけんかすることはありませんでした。 とてもなかよくなったふたりは、おとなになるまで、ずっとなかよしでした。 おとなになったふたりは、いつでもいっしょにいたかったので、あたらしいおうちで、いっしょにくらしはじめました。 けっこんしましょう。 そういって、「あ」さんと「い」くんは、けっこんしました。 けっこんしきには、「う」ちゃんも、おいわいにきてくれました。 ねえねえ、「あ」さんと「い」くんのおうちはどれなの?おうちがたくさんあって、どれがふたりのおうちなのかわからないよ。と「う」ちゃんはいいました。 じゃあ、わかるように、めじるしをつけるよ。 「あ」さんの「あ」と、ぼくの「い」で「あい」って、めじるしにかいておくよ!と「い」くん はいいました。 ふたりの、あいのおうちは、「あい」というなまえになりました。
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