二夜目

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「はい、じゃあ二人とも。手を合わせてー」 俺がパンっと音を鳴らしながら手を合わせると、二人ともそれに続く。・・・コイツら、素直だよなぁ。 「農家のおじちゃんおばちゃん、並びに仲介業者の方々、更には惣菜屋のおばちゃんに感謝しつつ・・・」 「木代、長い!!」 「ごめんごめん調子に乗りました。・・・――いただきます!」 「「いただきます」」 俺が言うと、二人がそう声を揃えるもんだから笑ってしまった。 「大和、提案なんだが」 「一口30回以上噛みましょう・・・どうした?」 「家事をしたいんだ、教えてくれないか?」 「え?」 思いもよらぬ提案に、耳を疑う。・・・戦国武将が家事すんの? 「駄目か?」 「いや、助かるけど・・・」 助かる、とても。俺は一人暮らしだから、色々ままなってないもんなぁ・・・。 「・・・でも、家康はお客さんだし」 「だがいつ元の時代に戻れるかもわからんからな、・・・大和の役に立ちたいんだ」 う。そんなチワワみたいな顔するなよ、虐めたくなる・・・。いや、自重自重!!家康は優しいこと言ってんだから!!! 「わかった。・・・じゃあ教えるから出来る事から頼むよ」 「あぁ!!!」 俺が了承すると、家康の表情が明るくなった。・・・よっぽど俺に気を使ってんだなぁ・・・。
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