六夜目

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トゥルル...トゥルルル... 何かが鳴った、今の今まであったかなかったかさえ微妙だった電話機だ。今じゃ携帯電話なんて便利なものがあるから、滅多に鳴らないよねぇ。 「大和、何の音だ?」 「電話だよ、ちょっと待ってね」 今日は家康とハンバーグを作ってたんだけど。邪魔をされてムッとしつつ、肉をこねていた手を洗って受話器をとる。 「はい、木代です」 [あ、大和君?] 受話器越しに聴こえる声は、なんとなくか細い女の人の声。俺はこの声を知っている。 「お義母さん?どうしましたか、いきなり」 [えぇ、いきなりごめんなさいね。・・・大和君、少しこちらに帰ってこれないかしら] 「・・・何があったんですか?」 連絡してくるなんて珍しい・・・何だか嫌な予感がする。 [お父さんが倒れてね。・・・もう長くないかもしれないの] 「・・・そう、ですか」 お義母さんの言葉はそこで途絶えた、俺はスケジュール帳を開く・・・一応一度帰らなきゃなと思い予定を確認した訳だが、予定以上に大変なことを忘れていた。 「木代、何と話している」 「三成!大和の邪魔をしてはいけないぞ!!」 ・・・この二人である。っべー、っべーなー!!二人をここに置いてく訳には行かないから・・・仕方ない、連れていくしかないかな。 「・・・お義母さん、予定はどうにかなりそうなので、明日にでも帰ります」 [本当?なら良かったわ・・・!] 電話越しの声が明るくなる、その声に安堵しつつ・・・俺は、空気読めない略してKYな発言をぶつける。 「ただし、なんですけど・・・その、友人を二人連れていってもいいですか・・・?」 あぁ、恥ずかしい。
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