七夜目

2/6
前へ
/97ページ
次へ
「大和!!これは凄く早いな・・・!!」 「うん、そうだね」 電車なう。あの電話の後二人に話して会社に連絡して用意して・・・色々してたら寝れなかった辛い。二人が居るから電車でも寝れないしね。 「木代、この乗り物は何だ・・・!!」 「電車だよ。馬の何百倍くらい早いしこいつ疲れないから超凄いの」 「何だそれは!!どうなっている!」 ・・・田舎行きのマイナー路線でよかった。回りに人居ないし、ちょっとくらい騒いでも大丈夫だ。 「・・・本当に、未来とは凄いんだな」 「うん、人間は進化するものだよ」 「・・・大和・・・」 「家康?」 なんとなく物憂い気に外を見詰める家康。・・・どうしたんだろう? 「大和は、その・・・過去に、というかワシ等の時代についてどう思う?」 「どう、って」 家康、いきなり何を言っているんだろう。 「・・・つまらない現代より楽しそう、だと思ってたよ」 「つまらない、か。大和にはこの世界がつまらなく見えるんだな」 ふ、と家康が少し笑う。その笑みに、なんだか少しだけ恥ずかしくなった。 「だって、会社に行って帰ってまた会社に行って帰って・・・ずっとその繰り返しだもん。今は違うけど」 そう言うと、窓の外を見ていた家康がこちらに視線を移した。三成は相変わらずこのスピードに戸惑いつつ外を見ているけど、こちらに耳を傾けているのがわかった。 「今は、二人が居てくれるから楽しい。凄くね」 悪戯っぽく笑ってやると、家康も笑った。三成は、満足したのかどうなのか、ぴくりとも動かずだ。 「・・・二人が、か」 「ん?三成どうかした?」 「・・・腹が減ったと言ったんだ」 「あぁ。・・・家に着いたら、きっとおいしいご飯が待ってるよ」 俺が作るご飯なんかより、ずっとおいしいだろう。 ・・・帰りたくない、って言われたらどうしようかな。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加