5人が本棚に入れています
本棚に追加
それは数年に一度というほどの大雪が降った日のことである。
夜も更けてぐっすりと眠っていたミナは、何か得体の知れない音で目が覚めた。
ぼんやりとした頭でしばらく聞き耳を立てる。
しんしんと降る雪の音。
それに混じって、かすかな物音がどこからか聞こえてくるのだ。
しかしパパやママはミナの隣で寝息をたててぐっすりと眠っているから、この家にはもう物音を立てる者はいない筈である。
最初は、ネズミだろうかとミナは思った。
でもそれが間違いであることはすぐにわかった。
何故ならばその物音の正体は、何者かの小さな小さな呻き声であったからだ。
そしてその声はどうやら居間の方から聞こえてくるようだった。
ミナは、パパとママを起こさないようにゆっくりとベッドから降りて、側にあったブランケットを羽織ると声の方へ恐る恐る歩いていった。
最初のコメントを投稿しよう!