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火と煙に弄ばれ、視界は涙でぐしゃぐしゃだった。
僕の精神は磨耗しきっていて、感覚がおかしくなっていく事を、ただ冷静に受け止めていた。
いや、違うのか?
僕はこれまでに無いくらい動揺していて、頭の中では無意識に彼女の事しか考えてないのかもしれない。
そう思うと、すとん、と胸のつっかえが落ちたような気がした。
やっぱり、僕は彼女の事しか考えられないのか。
そのクセ彼女を理解したつもりになって、挙句の果てには彼女を傷つけて。
最低だ、僕は。
そして僕は、彼女を救おうとして偽善者ぶるのか。
ヒーロー気取りで彼女の前にノコノコと顔を出そうと言うのか。
――違う。
――僕は。
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