彼女の大嫌いなコンサートホール

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「だからね」 彼女はやっと僕の事を見て、涙を浮かべたぐしゃぐしゃな表情で言った。 「死ぬの」 だから、彼女は火を放ったのだ。 「ここね、お父さんが大好きなんだって」 彼女は一瞬だけ天井を仰いで、また僕を見る。 「だから、私は大嫌い」 違う。 そうじゃない。 君を追い詰めたのは、君の父親じゃなくて僕なんだ。 「さよなら、大好きな人」
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