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「あの」
気が付けば、言葉が口を突いていた。
僕の意志に反したそれは、月を浴びて草原で寝転ぶ余りにも美しい少女を前にすれば、至って当然かもしれない。
「……君は」
流麗な黄金の髪を靡かせ、純白のドレスに身を包んだ少女は立ち上がる。
「あ、僕は、この辺の農家で、羊を飼っていて」
「あぁ、知ってるよ。会いたかった」
彼女は旧知の友人にでも話し掛けるようにそう言った。
僕とは初対面なのに。
「あの、失礼ですけど、何処かでお会いしましたか?」
「いや、会うのは初めてだよ。でも、何時も君を見ていた」
くすりと笑った彼女の目は、ただ真っ直ぐに僕を見つめていた。
初対面か、それもそうだろう。
こんな農家の長男である僕が、こんなに美人な女の子と知り合っていたのなら忘れられる筈がない。
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