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ぎぃ、と、屋上と校内を仕切る扉は、僕の耳を切り裂く。
吸い込まれそうな空の下に、僕の探す人は居た。
「やぁ、今日もいい天気だよ」
僕と目が合うと、先輩は飾らない笑顔でそう言う。
「……そうですね」
晴れの日が良い日だとは、限らないけれど。
「こっちにおいで」
先輩は優しい口調で、トントン、と二回足踏みする。
「……嫌です」
僕は擦れそうな声を、必死に喉から押し出す。
「そんな、悲しい事を言わないでよ」
先輩は本当に泣きそうな声でそう言った。
そんな先輩を見て、思わず駆け寄ってしまいそうになる。
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