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一先ず落ち着こうとして彼女の肩を押して体を離すと、彼女は僕の腕を引いて草の上へ倒れこむ。
僕は間一髪で体を入れ換え、下敷きになる事で彼女のドレスを汚す事を防いだ。
「あぁ、やはり男の子、という訳か。逞しい体をしているんだね」
倒れこむ事になった原因である彼女は僕の耳元に口を近付け、そう囁いた。
彼女の甘美な声でそんな事を言われ、僕は心の奥底から何か込み上げてくるのを感じとった。
「さぁ、聞かせてくれ、君の一日を」
草原に寝転がった僕の体から、スッと彼女の温もりが離れていくのが分かった。
僕達は二人で並んで寝転がり、月光を浴びている。
夜風が頬を撫でる。
彼女の方に寝返りを打つと、彼女の方もまた僕の方へと寝返りを打つところだった。
ふと目が合うと、彼女は目を伏せて僕の話を促した。
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