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昔から、私はよく近所の面倒見のいいおばさんの家から、本を借りては一晩中読みふけっていた。
その中の一冊に、「魔法界の歴史」という本があった。
最初のページの見出しは
「史上最強の、 [時] の魔法使い」
とあり、その下の写真の中で、この人とまったく同じ人物がほほ笑んでいる。
彼は、千年に一度生まれるか否かの伝説の、時の魔法使い。
うん、確かに
すごい人って感じだなあ。
堂々とした物腰、やさしく受け入れてくれるようなまなざし。
そんな彼は、
「なんとまあ、今日がその日とは、考えもせんかったわい」
と、独り言を言っている。
「君は、まだ魔法を使えないそうじゃのう」
ベットから降りて、服のしわを伸ばす私に、彼は言った。
あのスーツの紳氏が言ったのかなあ。
それとも、伝説の、時の魔法使いであるこの人は、何でもわかってしまうのかもしれない。
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